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くらやみまちからの手紙

2026.10.2── 封切りに / 最後の必然

2026.10.02

映画『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』封切りにあたって、10月1日に行われた、公開前夜舞台挨拶での山戸結希の発言を、引用・全文掲載いたします。
映画が飛び立つ前の最後の静けさのなか、
存在を待ち望んだ、あなたへと向かって──

………

「きっと、こういう映画なんじゃないか?」という期待を、良い意味で裏切ってゆけるような、遠藤和さんのオリジナルな生、固有の生を尊重したさきに、それぞれのオリジナルな生命が輝く映画を、目指していました。

映画制作をしていると、奇跡が起こります。
この世界に雨が降る時、それは、映画の背景美術になり得ます。
映像に実写化する上での映画芸術の価値は、そうした偶然が、必然へと変わってゆくことなのだと思います。

映画の現場に、何百人が出会った偶然を、必然へと変えてゆけるよう、
エンドロールのお一人おひとりの固有の名前に、必然性の宿った映画を撮らなければならないと、ずっと、修行中なのですが──
この映画を、作りたいと願ってくださった方がいて、集ってくださった信頼できる皆さんがいらして、こうして形作らせていただけて、その最後のピースは、観客お一人おひとりが、嵌めてくださるのだと信じています。
最後の必然は、あなたが、映画を見つけてくださることなのです。

この映画を観たことは、自分にとって必然的だったのだと、そんな関係を切り結んでいただけたのならば──
この映画の結末は、映画を見つめてくださる方の、オリジナルで、固有の生に懸かっているのだと思います。
『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』は、そのことを、心から信じられる作品です。

この世界にたった一人の、
和さんからのバトンが、
この世界にたった一人の、
あなたへと贈られることを、祈っています。

まちの映画監督

山戸結希 / YAMATO YUKI

山戸結希 / YAMATO YUKI

2012年、上智大学哲学科在学中に独学で監督した映画『あの娘が海辺で踊ってる』でデビュー。

2014年、映画『おとぎ話みたい』にて、日本映画プロフェッショナル大賞新人賞を受賞。

2016年、映画『溺れるナイフ』が60万人以上を動員し、20代女性の監督作品において前例のない興行記録となる。

2018年、初の企画・プロデュースを務めた映画『21世紀の女の子』──“ジェンダーあるいはセクシャリティがゆらいだ瞬間”をテーマとしたオムニバスが、東京国際映画祭にて特別上映。
翌年、監督を務めた『ホットギミック ガールミーツボーイ』と共に称賛され、TAMA映画賞最優秀新進監督賞を受賞。

2021年、初のテレビドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』のシリーズ構成と監督を務める。CX『セブンルール』にて、「新世代の映画監督 若手俳優が出演熱望する青春映画の名手」として特集される。2024年、NHKゴールデンタイムのドラマ『燕は戻ってこない』の演出を担当する。

これまでMrs. GREEN APPLE、RADWIMPS、backnumber、乃木坂46らMusic Video映像監督を務め、ジャンルを超えたみずみずしい映像表現に定評がある。

2026年10月2日、映画『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』が、全国ロードショーとなる。