2026.10.2── 封切りに / 最後の必然
2026.10.02
映画『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』封切りにあたって、10月1日に行われた、公開前夜舞台挨拶での山戸結希の発言を、引用・全文掲載いたします。
映画が飛び立つ前の最後の静けさのなか、
存在を待ち望んだ、あなたへと向かって──
………

「きっと、こういう映画なんじゃないか?」という期待を、良い意味で裏切ってゆけるような、遠藤和さんのオリジナルな生、固有の生を尊重したさきに、それぞれのオリジナルな生命が輝く映画を、目指していました。
映画制作をしていると、奇跡が起こります。
この世界に雨が降る時、それは、映画の背景美術になり得ます。
映像に実写化する上での映画芸術の価値は、そうした偶然が、必然へと変わってゆくことなのだと思います。
映画の現場に、何百人が出会った偶然を、必然へと変えてゆけるよう、
エンドロールのお一人おひとりの固有の名前に、必然性の宿った映画を撮らなければならないと、ずっと、修行中なのですが──
この映画を、作りたいと願ってくださった方がいて、集ってくださった信頼できる皆さんがいらして、こうして形作らせていただけて、その最後のピースは、観客お一人おひとりが、嵌めてくださるのだと信じています。
最後の必然は、あなたが、映画を見つけてくださることなのです。
この映画を観たことは、自分にとって必然的だったのだと、そんな関係を切り結んでいただけたのならば──
この映画の結末は、映画を見つめてくださる方の、オリジナルで、固有の生に懸かっているのだと思います。
『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』は、そのことを、心から信じられる作品です。
この世界にたった一人の、
和さんからのバトンが、
この世界にたった一人の、
あなたへと贈られることを、祈っています。






