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くらやみまちからの手紙

2024.2.19 on Instagram

2024.02.19

明日は絶対に好きな映画が観たい。
もう観る前から好きってわかっている映画。
私は、その映画を絶対に好きになる。
だから今日は、素晴らしい前夜になる。

明日は絶対に好きな映画が観たい。
取り戻せない場所に行きたい。
巻き戻しえぬ時間に覚めたい。
どのみち、まちがえてる。
かえすがえすも、もうだめだ。
振り向いてすら、影帽子とも擦れ違えず、
いまはただ燃えかすの残り香をあおいで。

光が見たい。
作り物でも構わない。
紛い物の星をならべて。
モンタージュの牽強付会を豪語して。
人類が生まれるよりもずっと速く、あらかじめそこには星座があったかのように。
現実を、物語が歪めて。
(↔︎正して。)
(→醸成して。)
(←物語が何かを超克するかのような物言いを疑い、
都合のよい信念ぶりっ子を何度でも破棄して、
そのように生きる、
が理解はされず、
ロマンも信仰も夢もないやつだねって見損なわれる、
きみの損の方法論を見つめながら。)

ひいては、暴力と愛に境界線を求めること自体、
イカサマの人倫にさらわれている。
それでも暴力に居直るのも愛に居直るのもまた愚かだ。
(↔︎おろかだから。)

あらゆるタイミングの最善として、
ここには暗闇のみが残されている。

明日は絶対に好きな映画が観たい。
その夢が叶うのであれば、
胎内に眠る星々が、どのように達せられなくても構わない。

……

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2023.5.28 on Instagram

2023.05.28

明日29日(月)午後10時45分より、
NHK総合 にて、
『おれ、夕子』が放送されます。

「藤子・F・不二雄SF短編ドラマ」の地上波放送なのです。

#藤子F不二雄 先生の原作のもと、
たった15分の宇宙にて、
すれちがい引き合い行き止まりに辿り着く設計をもとめて、
脚本・演出を担当しています。

そして、関係のある写真がいま手元になくって、
写真は『21世紀の女の子──離ればなれの花々へ』
のbehind the sceneです。

心としてはそういうことなので、
もう、よいかと思って。
心としては変わらず、相変われずの、
太陽がどこにいても、喪に服す時間を忘れても、
そこにカメラと原因と結果を差し出す心なのです。
どんな窓をもスクリーンと読み違える、
流れ星を自己都合に誤認するような、
暗闇のなかにいたのです。

どんな日にも、ぜひどうぞ、ご覧ください。
映画なんて観たくなくって、せっかくテレビを付けるのに、
散々な運命だと、影を落としたくて、
行く先々に、複製芸術が満ちるように。
幼な子の寝静まった街に、
果たされることのない星々が宿るように。

#おれ夕子
#藤子F不二雄SF短編ドラマ

……

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2019.11.28 on Instagram

2019.11.28

第11回 #TAMA映画賞
最優秀新進監督賞を受賞いたしました。
素晴らしい言葉を贈ってくださった皆さんに、
一体何を返せるだろうかという思いばかりに囚われますが、
それでもいつでも、
少しでも、素敵な瞬間を、
作品に封じ込められるように、
大好きな映画を、もっと大好きな映画を、
真っ先に観てもらえるように、
沢山立ち上がりながら、
丁寧な気持ちで作品を創り続けようと、
今はこうして多くの方の力を借りながら、
いつしか一人逝きそびれ、
祈りとて取り残され、
誓いだけが複製をつづけ、
吹きすさんでゆけたならと。

個人の苦しみとは、個人の苦しみでしかなく、
また歓びも、本来的にはそうであるのかもしれないのですが、
それを揺るがす明るく憂鬱な映画の性こそが、
芸術表現の魔境にて、
聖俗うつくしい力を泡立てている。
今はまだ、まことの嘘として輝いている。

映画を撮るという行為が独り情熱的なのではなく、
映画を観るという日常に唯一の、
映画を語るという営みそのものに、
普遍の情熱が託されているということを、突風のように、届けられました。
わたしはあの日、あの磁場に、
情熱的に呼んでいただけたのだと信じています。
いつか、
映画を撮ることを諦める日まで、
壇上で過ごした120分強を、
バック・ショットに満ちた長篇映画を、
忘れられぬままでしょう。

……

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ことばをかさね

山戸結希 / YAMATO YUKI

山戸結希 / YAMATO YUKI

2012年、上智大学哲学科在学中に独学で映画『あの娘が海辺で踊ってる』を監督。

2016年、映画『溺れるナイフ』が60万人以上を動員し、20代女性の監督作品において前例なき
興行記録となる。10ヵ国以上へとセールス。

2018年、初の企画・プロデュースを務めた映画『21世紀の女の子』──“ジェンダーあるいはセクシャリティがゆらいだ瞬間”をテーマとしたオムニバスが、東京国際映画祭にて特別上映。

2021年、ドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』にて、初のテレビドラマのシリーズ構成、監督を務める。

──現在、新作を準備中……